ABC対談_メイン写真

ビルシュタイン社と技術提携することになったきっかけは?

渥美専治:今回のSSダンパーのリニューアルは、ビルシュタインとの提携無しでは考えられませんでした。なぜなら、世界最高品質を目指したからです。

そして、ビルシュタインと当社とをつなぐ唯一の頼みの綱が当社の上野浩志でした。上野はSSダンパーの開発者であり、2000年から2007年までビルシュタインのテクニカルセンターで設計に携わった経験がありました。そこで何とかビルシュタイン社との技術提携の交渉にこぎつけたのです。

武藤:ビルシュタインの代理店である当社(阿部商会)では、私が上野さんから直接相談を受けました。まずは図面を拝見したところ、材料や寸法等が自動車のショックアブソーバーと大きな差異がなく、前向きに検討できると判断してビルシュタインの佐藤さんのところに図面を持っていきました。

佐藤:ビルシュタインは、『設計は言葉ではなく図面で語る』という考えに立脚しています。ですから、私は武藤さんから受け取った図面と上野さんのプロフィールだけで本社との交渉を開始しました。その図面が目にとまり、本社から「その図面を描いたのは誰だ?」と尋ねられましたが、その質問は図面を通してビルシュタインの技術に対しての理解度が深いことを意味するものでした。

それで私は設計者の上野さんが以前ビルシュタインの知識や技術を学んだ経験があることを説明しました。それが設計部門の信頼を得られた大きな理由のひとつです。その後、本社から投げかけてくる質問事項に対して、その都度上野さんが的確かつ迅速に対応してきたからこそ、短期間でここまでこぎつけたのです。

渥美幸久:ビルシュタイン側としては、自動車と建設という業界の違いに戸惑われることはありませんでしたか?

佐藤:ビルシュタインの技術と製品が基となり製造、販売される訳ですから、本社も前向きに考えてくれるだろうと推測して進めていきましたので、それが住宅用だとかいうことはあまり気にしませんでした。

むしろ、地震の際、実際に揺れが軽減された等の成果を聞き、SSダンパーが人々の命や暮らしを守る製品であることを知って、なおさら人々の安全に貢献したいという想いを強くしましたね。

純度100%の信頼と情熱が、夢のコラボレーションを実現

阿部商会_写真

1948年、東京都神田に来るべき車社会を見据え、 ㈱阿部商会を設立。

佐藤:さらに、本社の営業のトップが今回の件にGOサインを出したのは、「阿部商会を交えたビジネスである」ということも大きな理由のひとつです。阿部商会という代理店とビルシュタインとの35年に渡る歴史と信頼関係はそれほど揺るぎないものがあるんですよ。

渥美幸久:私共にとっても、ビルシュタインといえば阿部商会さんの名がすぐに挙がるほど両者の結びつきは強い印象があり、今回もまずは阿部商会さんに認めていただけるかどうかが勝負所でした。

武藤:当社では創業以来、小売店との関係を大切にしてきました。そして、最初は小規模なお店でも、いろいろなアイディアを生み出して成功を重ね、やがて大型店へと成長していく過程を何度も見てきました。
ですから、何か可能性を感じたら会社の規模に関らず、一緒に成功を目指して取り組んでいきたいという想いがありますね。今回も上野さんの図面や会長と社長の情熱に可能性を感じ、その想いが強まりました。

佐藤:そうですよね。やはり最後は人であり、情熱ですよね。今回私もそれを感じたからこそ心動かされたわけです。そうでなければ今回のABCの結びつきは実現し得なかったでしょうね。

ビルシュタインの感性と経験値なくしては、バイリニア特性は語れない

上野:今回のSSダンパーで注目すべきは、ビルシュタイン社だからこそ実現可能な優れたバイリニア特性にあると思います。「バイリニア特性」というのは建設業界の言葉であり、ビルシュタイン社でいえばモノチューブダンパーのディグレッシブタイプ特性と呼ばれています。ディグレッシブにおける「頭打ち」の特性というのは、建設業界においては躯体の損傷を防ぐ上で非常に有用です。実はその「バイリニア特性」に相当する「ディグレッシブ」を世界で初めて開発したのがビルシュタインなんですよね?

佐藤:そうです。自動車の中で唯一、機械では性能を測定解析できない分野が、ショックアブソーバーの減衰特性だといわれています。路面の状態や自動車の走り方が一定ではない状況下で、ディグレッシブ=バイリニア特性によって最適な環境を作り出すには、ピストンの性能だけでなく、それを使いこなすための仕組みが重要です。

さらには、どんな走行状況下においても快適性と安定感を保つ「最大公約数的な妥協点」、すなわち、乗り心地性能と操縦性能との「高い次元での妥協点」をどこで見つけるかが最も重要です。これは機械では解析できない分野であり、人間の感性に委ねた判断が必要です。そして、その判断力というものは経験値によって培われます。
ビルシュタインにはポルシェやベンツ、BMWの技術パートナーとして共にゼロから車を作ってきた実績があり、豊かな経験と知識を持つ技術者がいる。そのことが他の部品メーカーの追随を許さない理由のひとつです。

ですから、ビルシュタインが評価されているのはもちろん製品的な精度もありますが、実はそうした技術開発力に拠るところが大きいのです。

最高レベルの結束力で、ABCが制振業界の新たなる飛躍に挑む

渥美幸久:事実、自動車業界は勿論のこと、建設業界の方々にとっては、まさかあのビルシュタインが日本の木造住宅の制振装置の事業に踏み切り、しかも千博産業と提携するとは…という驚きも大きいと思います。

ビルシュタインの名は最高品質と同義だと聞いております。それを私たち自身も実感しているからこそ、ビルシュタインのブランド力を損なうことなく責任を持って販売していきたいと考えています。

渥美専治:当社では耐震工法にプラスして制振が必要であることを一般ユーザーの方々に訴え続けてきたのですが、最近になってやっとその考え方が浸透しつつあります。それによっていろいろなメーカーがこの分野に参入してきましたが、こうして夢の提携が叶ったことで、真の本物は何であるか、を伝えることが出来ると信じています。

とにかくSSダンパーの今後の展望にはポジティブな要素しかない。このABCの出会いは偶然であり、そして必然であったと確信しています。

左から
上野 浩志[千博産業㈱ チーフエンジニア]
武藤文雄[㈱阿部商会 営業本部 本部長]
渥美 幸久[千博産業㈱ 代表取締役社長]
佐藤一秀[BILSTEIN アドバイザー/トランスレーター]
渥美 専治[千博産業㈱ 代表取締役会長]

㈱阿部商会

営業帆運部 本部長 武藤 文雄

1977年㈱横浜阿部商会 入社
ピレリ、BILSTEIN、ATS、HELLA等営業として拡販。 ㈱横浜阿部商会をへて㈱阿部商会 関東営業所担当部長 後、営業本部にてBILSTEIN担当責任者を受け持つ。
subaru sti,mazda speed,nismo,輸入車メーカー等 メーカー、チューナー限定車向けBILSTEIN供給に注力。現在、アイバッハ、BILSTEIN等サスペンションチーム担当。

BILSTEIN

アドバイザー/トランスレーター 佐藤 一秀

日本市場で「ミスタービルシュタイン」と称され、「ビルシュタイン」の名を浸透させた第一人者。1971年、阿部商会に入社。
1978年、メルセデスベンツで純正採用されていたビルシュタイン社と日本に於ける独立販売代理権を取得。2001年、阿部商会を退職。2002年から ThyssenKrupp-BILSTEIN 社と契約して日本事務所を開設。現在はビルシュタイン社のアドバイザーとして業務を維持・サポートしている。

阿部商会ロゴ

株式会社 阿部商会

本社所在地:東京都千代田区神田美土代町3
代表取締役社長:阿部 良助
設 立:1948年9月11日
資本金:47,340,850円 (純資産 57億8800万円)
売上単体:95億0500万円 (平成25年3月期)
グループ:161億6400万円
事 業:
クルマ業界のアフターマーケットにおいて、 タイヤ、ホイール、用品・部品・機械・テスター等を販売していく用品販売部門と部品販売部門と関連会社に㈱阿部モータースBMW販売部門がある。
URLhttp://abeshokai.jp/

阿部商会_外観